ベルデセルバ戦記でブログ

プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

番外:大陸文字の研究1



海皇紀第九話(3巻)で初登場のアル・レオニスが眺めていた地図に描かれていたグリハラには文字が書かれていた。

この文字は以後ロナルディアの文物に書かれている文字と同一と思われる。(一部謎が残るが。)この世界では古代文字と呼ばれる英語のアルファベットが海の一族以外には読めない以上、大陸の人々はこの文字を使っていると考える他無い。そしてこれ以外の文字種を海皇紀内で見つける事は出来なかった。


 さて、ではこの文字はどのような文字であろうか?幸いヒントはたくさん有る。第一にグリハラの読み方から始まり、大陸の国名のほとんどは大陸文字表記(主に4巻・33巻)と海の一族の海図の英語文字表記(主に31巻)の両方のサンプルが得られている。
 結論から言うと大陸文字は表音文字であり、非常に英語に近い文字体系である。これは海皇紀の世界がほとんど均質の言語を使用していることと関係しているのかもしれない。ここからは想像になるが、崩壊前の世界では英語が非常に優勢で全世界の人々が英語を使っていたのであろう。そのため崩壊後の世界でも共通語として英語、もしくはそれが変形した言語が使われ続けていたのであろう。(本来は交通・通信機関の未発達な世界では1000年もすると地域差が激しくなり別言語として枝分かれしてゆくものだが。ラテン語ポルトガル語スペイン語・フランス語・イタリア語・ブルガリア語に分かれていったことが良い例。)


 それはともかく、海の一族とロナルディアの地図からアルファベット26文字に対応する大陸文字23文字を同定することが出来た。しかしここで謎が生まれた。これだけではカロの港に書かれた筆記体の文字群を読めないのだ。


 まずはロナルディアの地図から大陸文字をアルファベットに当てはめてみよう。もちろん前提として、海の一族の使うアルファベットの音とロナルディアの使う大陸文字の音が完全に一致し、かつ発音と表記音が完全に一致するとしておく。(例えば現在の英語は表記と発音が一致していない。これは単語のつづりが固まってから数百年の間に単語の発音が変わってしまったから。しかしここでは両国ともそれは無いと仮定する。)



 ただし、C、J、Pは使用例の文字が小さすぎ、かつ網掛けのスクリーントーンがかかっているので正確な字形がつかめていない可能性が残る。特にCはその左上端が点なのか連続線なのか今ひとつハッキリしない。そして、残念ながらF、Q、Xに当たる音が国名に使われていないのでこれに相当する大陸文字は決定できなかった。しかし23種もの字音を決定できたのは非常に喜ばしい。これによって以後のロナルディアの地図をほぼ完全に読むことが出来る。
 例えば33巻に掲載されたイベルグエン製のロナルディアの地図のナルド海に書かれた文字はNARUD_SEAであることが分かる。なんとロナルディア語で「海」を表す言葉はSEAなのである!(ただし西洋で学術用語としてラテン語を用いていたように、地図用の言葉としてのみ古代語の単語を用いている可能性もある。またそのことから、マイアやトゥバンが英文字を読めなかったのは単に古代語の教育を受けていなかっただけとも言える。現にトゥバンは一見しただけで英文字を古代語だと明言した。つまり大陸人も古代語の存在とその字形についての知識を持っているのだ。)34巻に掲載されていたオルヴァ城近辺の街道の名前がN・ロヴァルとS・ロヴァルであることも分かる。もちろんNが北側でSが南側である。(フランス語でもnord・sudだけど。)また、37巻で掲載されたナミトア半島の場所に書かれた文字がG・NAMITOREと書かれているのは「大」ナミトア(半島)という意味だろう。ここにも英語の影がちらつく。
 なお、ロナルディア本国で用いられている地図の文字は現代で言えばゴチック体(英語で言えばサンセリフ体)で、現代の我々の目から見ても非常に簡素で洗練された字体である。一方、3、4、10巻でアル・レオニスやオリカの頭の中に描かれた地図の大陸文字もゴチック体風ではあるが、少々垢抜けない書体である。(また国名の表記にも[ng]を表すGや音を伸ばす意味のHが付いていたりとロナルディア本国で用いられている国名表記と少々違いがある。)このブログで示した書体はロナルディア本国で使われている書体である。


 さて、この判明した23字を使ってカロの市街の壁や看板に書かれた文字を解読しようとしたがこれが非常に難しい。というのも同じ字種が非常に少ないのだ。初めは全く別の文字体系かとも思われたが、一部ロナルディアの大陸文字を使っているので、やはりカロ文字は大陸文字の筆記体(もしくは俗字体)であると考えるべきだろう。しかし筆記体と考えても解読は難しかった。唯一3巻のイナガ一家の背後に見えるがHOTELと読めるだけである。って「ホテル」かよ(笑)!
 これはやはり海皇紀の世界は英語(もしくはその変型した言語)が共通語であると考えて解読を進めた方がよさそうである。
 そこでまず、同じカロの港でニッカが手に持っているバインダーの上の文字を解読することにした。この文字は筆記体ではないので解読は容易であろうと考えたのだ。しかしこれも難しい。上記23文字に含まれない文字が山のように現れているのだ。
 いや、そもそも3巻でアル・レオニスが見ていたグリハラの名も
と書かれていた。先頭の文字と最後の文字以外は上記23文字に一致しないのだ。これはどういうことか?
 考えられるのは英語と同じとすると、これは小文字ではないだろうか?という仮説だ。グリハラを表す文字が先頭だけ大きく後は小さいことがそれを端的に暗示している。なぜグリハラだけ小文字交じりで、後のロナルディアの地図は全て大文字で書かれているのか?については”これがイベルグエン製だから”としか言えないだろう。ロナルディアでは地図には全て大文字を使う習慣なのだが、イベルグエンは違うかも、ということである。(なお、米国において書き言葉に小文字が使われるようになったのは200年ほど前かららしい。ワシントンが「最近文章に小文字を使うようになった!嘆かわしい!」と言っているそうだ。つまり過去においても文章が大文字だけで書かれていた時代があるということだ。)
それはともかく、小文字は筆記の簡単のために大文字から画を取ったり角を丸めたりして作られる。庶民や実務担当の者が一時の用に足る文章のために使う文字として小文字はふさわしい。しかしRとrのように一見しただけでは同じ音を表すとは思えない組もあり小文字の推定は油断できない。ともあれ、まずは大文字からの省略で類推できる小文字を示す。


LとRの小文字がどちらも判明しない以上グリハラのがどちらの小文字かはまだ不明である。


 続く・・・