ベルデセルバ戦記でブログ

プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

弟(石原慎太郎 著)

 1ページ目で挫折。父が
太陽の季節は名文だったが最近の石原は駄文』
と言ったので、駄文さ加減を確かめに単行本を借りたのだが、初っ端からかましてくれた。冒頭1ページを全部引用しよう。

 予兆

 船はようやく前線を通過したようで、昼近くになって雲が切れ晴れ間がのぞいて来た。空は刻一刻明るくなり、一時間もすると亜熱帯らしい濃く青い空が頭上に広がって空も海も本土とは違う季節を感じさせる。となると旅客の期待は突然にふくらみ、今まで船室でくすぼっていた船客のほとんどがデッキに姿を現し海と空とに見入っていた。
 やがて左手に聟島(ルビ:むこじま)列島が見えてき、私も一度泊まりがけで出かけて感動させられた、巨大なイソマグロが蚊柱みたいに群れている聟島(ケイター)も見える。私は、小笠原こそ世界一のダイビングのメッカだと思う。特に母島の魚影の濃さは世界でも比類が無い。おまけに季節ともなれば辺りには鯨までいる。
 もっとも今回はダイビングではなしに、今年で三回目、二年に一回の小笠原レースに、自艇ではなしに、親しい友人に勧めて船を買わせ相手も新しい趣味に熱中してくれ出したこともあって、ならば長駆して全長して千キロの小笠原レースに出てみろとそそのかし、私と私の船のボースンが助っ人で乗り込むためにやってきた。

「世界一のダイビングのメッカ」
には腹を抱えて笑った。
 メッカってのは一カ所しかねーからメッカなんだよ!(爆笑)
 いや、つまりね、メッカというのは世界で唯一の場所を指す地名であり、イスラム教の聖地であって世界中のイスラム教徒はお祈りの時間にその方向に向かって祈りを捧げる場所なんだよ。そこから『〇〇のメッカ』という言い回しは”〇〇のジャンル中心地”という意味が生まれたのであり、中心と言ったら一つしか無いのは分かるよね?
 だから「世界一のダイビングのメッカ」と書いたら「世界一のダイビングの世界の中心」と言う意味になってしまい、漫才だったら『何をお前世界世界と二回言っとんだ!』とツッコまれる事請け合い。僕が笑った理由を理解して頂けただろうか?(つまり「世界一の」が余計だってこと。)
 まあダイビングの世界では?『メッカ』という言葉は『すごい(ダイビング)スポット』って意味で使われてるのかも知れないけど、俺そんなのシラネ(涙笑)。


 とまあ、そんな訳で、1ページ目で石原慎太郎の教養と国語力の無さにあきれて単行本を閉じた。そうそう、あと、最後の段落が一文なのは長過ぎる。せめて二文に分けて。前の段落までのせっかくの歯切れのいい語り口が、いきなりヌルヌルしてるよ。もったいない。
 以上。