ベルデセルバ戦記でブログ

プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

〜飛来編〜第一章 〜天から落ちてきた男〜#10


 心を決めたミサキは翌日、さっそく司令部に向かった。せっかく基地内を自由に歩けるのだからと、裏口から入りいろんな部署を見て回ることにした。まず始めに営舎に入った。
 非番だったり待機任務中の兵士が何人か、通路階にたむろしていた。調度は古めかしいが床には赤い敷物が敷かれていて、良く言えば歴史のありそうな感じだった。部屋の中央には真鍮製の手すりが立っており、めいめいそこにひじをついたり寄りかかったりしている。
「よお。」
「ミサキじゃないか。おいおい、ここは関係者以外立ち入り禁止だぜ。」
ゼクセルに許可をもらったんだ。」
 ミサキは簡易の通行許可証を胸に付けた。
「『大佐』と呼べよ。・・・まあいいか。お前は軍人じゃないし。」
 そこに別の兵士が話しかけてきた。
「ふっ、お前もとんだところに落ちてきちまったな。ナデス島は今、本国と分断され敵国ギダンの領内を漂っている。文字どおりの浮遊島さ・・・。こんなところにいたって望みなんかありはしないさ。」
「なに泣き言をいってんだ。我々にはゼクセル大佐がいるじゃないか。名誉あるノイパスクは野蛮人なんかに負けはしない!」
 ゼクセルはずいぶん兵士に人望があるんだな、とミサキは思った。
「壊れかかった半重力エンジンを直すこともできないほど、われわれの科学力は衰えてしまった・・・・・・誇り高きノイパスク人がこの星を支配していたのも、ただの昔話さ・・・・・・。」
 話を聞いていた後ろの兵士がつぶやくようにそう言うと、皆、押し黙ってしまった。
 沈みこんだ雰囲気をわざと無視してミサキは明るく言った。
「今日は基地内を見学に来たんだ。ここの上は見てももいいのか?」
「あ、ああ、いいけど、上の連中をあんまり刺激するなよ。」
「機嫌でも悪いのか?」
「そんなところだ。」
 エレベーターであがってみると、2階は兵士達のベッドで埋め尽くされていた。ベッドは安物のようだったが、それでも2段ベッドではなく全て個人別のベッドになっており側板には透かし彫りの装飾がついていたりする。部屋の一つをのぞいて見ると。一人の兵士が険しい顔で部屋の中をせわしなく歩いていたがよく見ると、ただうろうろしているだけだった。
『ははあ。あいつの機嫌が悪いのか。やべっ!こっち見たぞ。』
「何だお前!なにしに来やがった、この宇宙人野郎。」
「いや、ちょっと見学に。」
「うっとおしい顔だな・・・・・・俺に殴られたくなかったらさっさと消えろ!」
「ああ、そうするよ。」
 部屋を出ようとしたら別の兵士に行き会ったので、ミサキはさっきの兵士に聞こえないように小声で言った。
「なんだ、あいつ。なにかあったのか?」
 しかしその兵士もミサキにはそっけなかった。
「ふん。おまえみたいなよそものに俺たちの何がわかる・・・・・・。」
 ミサキは長居は無用と、さっさと下の階に降りた。
「どうだった?」
「大歓迎されたよ。何なんだあいつら?」
「あいつら、こないだの戦闘で親友の乗った船をギダンに撃ち落されたんだ。そいつだけ船から脱出しそこねたんだ・・・。あんたギダン人に似てるから見ると余計イラつくんだろう。」
「そうだったのか・・・。」
 ミサキは営舎に別れを告げ、司令部の建物に裏口から入った。
 始めに入ったところは比較的広い部屋で、事務机と山のような書類がありおよそ軍隊らしくない。ミサキは役所の受付のような長いカウンターに近寄るとその向うにいる兵士に話しかけた。
「ここは何する部署なんだ?」
「何だミサキじゃないか。ここは配給部だよ。戦闘に必要な弾薬類や報奨金はここで配給されるから、戦闘で戦果をあげたら、俺に飛行記録を提出してくれよ。」
「おいおい。俺は軍人じゃないから関係ないぜ。」
「でも近々そうなるんだろ。」
「!・・・なんでそう思うんだ?」
ゼクセル大佐がスカウトしたってウワサだよ。」
「まだ決まったわけじゃあないんだけどなぁ。」
「じゃあ、ウワサは本当なんだな。ところでカフィ中佐に会いに来たのか?中佐は今、広報部だけど。」
「いや、いいんだ。じゃあな。」
 配給部を抜けると、司令部のロビーに出た。ミサキはエレベーターに乗り3階に上がった。