ベルデセルバ戦記でブログ

プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

市の広報誌の正月版TOPに宇宙探査機が!・他短歌など

 明けましておめでとうございます。


 正月に帰省したら元日配達の「広報さがみはら」のトップの画像が「はやぶさ2」だった!

 市の広報誌の年頭に宇宙探査機のCGがデカデカと載るなんて。しかも平成26年打ち上げ予定なのにずいぶん気が早い(笑)
 まあ、私としてもはやぶさ2が注目されるのは嬉しいけどね。そしてそれだけ、さがみはら市でははやぶさが身近な存在なんだね。


 さて、はやぶさ2とは何の脈絡も無いが、せっかくの年賀なので歌をいくつか紹介したい。
 といっても私が作ったものではない。私の母が小学六年生の時に、教師から「一人一首づつ短歌を作って来なさい」と言われて作った同級生達の歌だそうです。ただし下記の各歌の番号と題名は便宜上私が適当に付けたものです。
 えーっとだから58年程前のものです。よってまだ著作権は切れていないので、『私の歌を勝手に掲載しないで下さい』という方は御一報下さい。(※ただし当人でなければ知らないはずの情報が併記されていなければイタズラと見なします。まあ、この世代の方はまず見てないと思うのでそういう御連絡は無いものと思いますが。え、ずるいって?まあ堅い事言わないで。)


1.猫の歌

子をくれて
夜毎(ごと)子を呼ぶ親猫の悲しき声に
我は眠れず

 クラスでも勉強のできない方の男の子の歌。彼はすごく意地悪で女の子をよくいじめていた(アラアラ6年生男子だねぇw)そうです。そんな彼の意外な一面を見せてくれる歌ですね。特に「我は」と表現している所に私は注目しました。ただ単に「眠れず」じゃ3文字足りないので足しただけかもしれませんが、もしかしたら「我の親や兄弟達は平気で寝ているけど」という意味かも知れない、と思ったら俄然やるせなさが増してきました。


2.桑畑の歌

一心に摘んだ桑の葉肩にして
振り返り見る畑の広さよ

 当時はまだ日本各地で養蚕業が生き残っていた時代でした。また、業務用でなく自家製の絹織物を作る(もちろん自分で機を織るのです)為に蚕を飼っている家もあり、その蚕に食べさせる為に桑畑を持っている農家は多かったのです。母の言によると彼女の家の桑畑も自家用と思われるそうです。
 さて歌意を簡単に解説すると、桑の木にいっぱい葉が付いていた畑だったが、摘み終わって見通しの良くなった畑をふと見ると『ああ、うちの桑畑ってこんなに広かったんだ』と思う程に意外と広かった。という歌です。木の葉って無数に生えているように見えますが、彼女はその葉が全て無くなってしまう程に、そして最後の最後に畑の広さに気づく程に一心不乱に摘んでいたんだなという事が分かる気持ちのいい歌ですね。


3.峠の歌

日が暮れて
母の薬を取りにゆく
峠の道に虫の音を聞こゆ

 母によると、実は薬局までの道は峠でも何でもないんですが、あえて「峠」とした所に詩情と、作者の当時の心細さが伺えるそうです。確かにそうですね。そんな暗い道で思いがけず奇麗な虫の音を聞いた時の作者の心情は、想像してもなんとも言い表せないですね。ホッとしたのか、いや、現実の夜道の怖さを一瞬でも忘れさせてくれた音色への感動なのか。


4.本の歌

受け取るも
もどかしくして包み開き
そっと匂いかぐ新しき本

 提出された歌から先生が選んだいくつかを黒板に書いたとき、この歌の作者はすぐバレてしまったそうです。なにしろ当時、村で新しい本を買ってもらえる子供など数える程しかいなかったからです。この作者の家は戦前は大地主で、戦後(農地改革で農地が小作人に強制分配された後)も色々事業をやっていて裕福だったのです。
 それはともかく、新しい本の匂いというのは独特のものがありますよね。本というものは内容や装丁だけではなく、匂いでも楽しめるものなんだという事を再認識させてくれる歌です。


5.姫紫苑の歌

〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇ヒメシオン
さみしき庭のゆかしき花よ

 ○は母がもう覚えていないとの事で、不明です。「さみしき」と「ゆかしき」とで韻を踏んだ上で、さらに何らかのドラマを秘めていそうですね。なんとも言えない余韻というのでしょうか?そんな印象を受けました。


 これらの歌を58年経っても覚えている母も凄いが、当時今よりも情報量の少なかった時代に暮らしていたハズの、しかもろくに歌を詠んだ事がないはずの小学6年生がこれだけの歌を作ったというのも凄い。もちろんこれらの歌の陰には大多数の駄作が有ったのだろうけれど。
 でもこれを見て思うのは、人をハッとさせたり印象深かったりする歌というのは決して道を究めた歌人俳人だけが生み出すものではないのだな、ということ。当たり前の事だが。今でも新聞には毎日のように素人の短歌俳句が掲載されており、なかなか面白い歌が並んでいる。万葉集に東国の歌が何首も入っているのも、古代から日本人の生活と行事で歌が詠まれてきたのも別に不思議でもなんでもない、昔の人が特別な環境にいたとかではないんだな、と再認識したりしたのでした。