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プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

RPGの本質的面白さとは何か?(記事雑感)



【PR】期待作「HELLGATE」遂に禁断の扉が開かれる(前編),RPGの本質的な面白さとはなにか?
ゲームの記事で有名な4Gamerの記事である。

ライター:川崎政一郎
 ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)のオンラインRPG「HELLGATE」が,再始動に向けていよいよ本格的に動き出す。11月中に行われるクローズドβテストのテスター募集が,ついに昨日(10月15日)から始まったのだ。
【略】
 装いも新たに登場するこのHELLGATEは,多くのゲーマーに強烈なインパクトを与えることになるだろう。なにしろ元々は,オンラインRPGの始祖「Diablo」を作り上げたメンバーらが中心になって開発したタイトルである。非常に古い作品なので,今の時代には「Diablo」というゲームをやったことがないという人も多いだろう。大体の人は,名前ぐらいならは聞いたことあるという感じだと思う。Diabloは“Huck & Slash”というゲームスタイルの象徴的な作品であり,シンプルな戦闘の連続がたまらなく面白いと世界中のゲームファンを魅了した名作である。
【略】
 HELLGATEのゲームシステムでは,オンラインRPGにTPS(FPS)の要素が混ざり合っている。どちらかというとRPGの割合が高めなのだが,操るクラスや手に持つ武器によって,近距離戦と遠距離戦のどちらも選べる仕様だ。そのためアクションRPGだけでなく,TPSやFPSのファンでも楽しめるのが大きな特徴となっている。
【略】
 最後に少々余談になるが。今の4Gamerでは,“Diablo系”といった表現は,若い読者に伝わりにくいため基本的にNGだったりする。そのような時代の流れはしかたないのだが,その一方で,長い間オンラインゲームを楽しんでいる自分としては,「ゲーマー人生,それでいいのか?」とも思う。それは,RPGの本質的な楽しみ方の一つを知らない人も多いということではないだろうか。原点を忘れてしまったゲーム(プレイヤー)も多いのではないだろうか? かつてオンラインゲームブームを巻き起こした名作のDNAが,この作品でRPGの本質を再発見させてくれることに期待したい。

 リンク先の記事を読むと、どうやらこのライターは「RPG」を”キャラクターを育てるもの”、「アクション」を”近距離戦闘”、「FPS」を”銃器で撃ち合うもの”と考えている節がある。そうでなければ最後にRPGの本質を再発見(緑色での強調は原文ママ)などと恥ずかしげもなく大声で言ったりは出来ないはずだからである。
 このブログを読んでいるオバサン&オッサンの方々ならばご存知であろうが、RPGとは”Role Playing Game”の頭文字で”役割を演じるゲーム”の意味である。アクションはあいまいだがファミコン時代前後のジャンル分けで考えると”キャラクターがアニメーションして動けばアクションゲーム”と言えるだろう。(丸いだけの玉を四角いだけのラケットが打ち返すブロック崩しもアクションと言えなくもないので、キャラクターが画面内を動くだけで「アクションゲーム」と言ってもいいかも知れない。)そしてFPSは”First Person shooter”の略であり”一人称視点シューティング”の意味である。
 つまりRPGはゲームの楽しみ方を表し、アクションはゲームの表現方法を表し、FPSはゲーム画面の作り方のうちで視点のみを表した用語に過ぎない。これらは対立するものではなく元々混ざっていて当然のものなのである。
 つまりこのライターは全て間違っているのであるが、どうせTRPG(テーブルトークアールピージー)の存在すら知らない若者なのであろう。若者が若くて無知なのは当然なのだから、それを理由に責めるのは可哀想だが、これだけは言っておく。
それはRPGの本質的な楽しみではない!
 RPGとは高度なごっこ遊びなのである。少し前チャットの世界で「なりきり」という物語の登場人物に成り切って会話する遊びが流行っていたが、RPGの本質的な楽しみとは正にそれである。
「うんうん、あいつなら必ずこう言うよね」
という楽しみがいかに普遍的かは、現在の二次創作市場の一定以上の大きさを見れば良く分かるだろう。
 本来RPG(今日で言うTRPG)はごっこ遊びだった。ゲームとして楽しむために詳しいルールを制定し、物語背景を設定したのだ。だから極端なTRPGの場合キャラクター能力は数字では表されず、サイコロすら振られず、それどころか成長すらしない。大事なのはキャラクターの種族であったり宗教であったり、そして演じるプレイヤーの選択であるからだ。(ここまで来ると一昔前に流行ったアドベンチャーゲームに良く似ている。)しかしこれをやり遂げるにはプレイヤーにもそれを管理するゲームマスターにも相当な技術と知識と判断力が要求される。だから初心者向けには分かりやすく数値化した。その代わり計算と数値の書き換えという面倒な手間がプレイヤーに降りかかるのだが。
 逆にコンピューターは数値の管理に長けているのでRPGをゲーム化するとしたら数値方式を採用するのは当然の流れである。だがコンピューターはバカなので常識もなく臨機応変な対応も出来ないので、複雑に対応・変化する物語は語れなくなってしまった。型通りの応対しか出来ないコンピューターとの会話はすぐ飽きられてしまう。勢い楽しみが「動き」と「成長」に偏るのは仕方ない。コンピューターの進歩によって刺激的な動きをするゲームが登場したのは喜ばしいことだが、RPGの本質的な楽しみであるごっこ遊びのレベルがさっぱり進歩していないのは残念である。早く「常識を持つコンピューター」が生まれないかなぁ。


 で、このライターが言いたかったことを正しく言い直すとすれば「ハンティングゲームの本質を再発見」ぐらいが適当であると思われる。上記の引用記事を見ていてもDiabloの楽しみは成り切りでも成長でもなく、狩り・コレクションにあるようだからだ。対人戦も視野に入ってないので駆け引きとか戦略といった要素でもないようだ。