ベルデセルバ戦記でブログ

プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

 ICO分析

 さあ、今日でICOの話は終わりにしましょう。ベル戦のブログですからここ。

 さて、レビュー(ICO/悪い所)を見ていると色々ヘンなことが書き込まれていますねー。

  • カメラワーク
  • 主人公視点がない
  • 少女が連れ去られた時にカメラが動くと主人公を動かせない
  • 2周目が1周目とほとんど変化しない

ってのは確かにつらかったです。でも

  • ストーリーがない
  • ストーリーは必然性にかけるので説得力がない
  • 少女が邪魔。無くていい
  • 嫌になるほど普通・すべてにおいて、どこかオリジナリティに欠け
  • ボスとの会話でイコが少女の名前を知っているのはおかしい
  • 終盤いきなりBGMが入ったのには醒めた
  • エンディングが短すぎる

なんてのは、「おいおい違うだろ」って言いたいですね。
 塔に囚われていた少女の手を引いて迷宮を探索し闇の襲撃を撃退しつつ脱出する。ほら、ありきたりだけどちゃんとストーリーはあります。そもそも必然性の必要な場面なんてあったかな?このゲームにストーリーなんて求める方が間違ってると思うのだが。例えば将棋にストーリーを求める奴はいないでしょ?(とか言いつつ今連載中のハチワンダイバーでストーリーを考えながら将棋指してる奴が出てきてるけど(笑))
 少女がいらんとか言うけど、少女の手を引いて脱出するゲームだと分かって買ったのではないのか?何がしたいのやら・・。
 これを普通と言うとはよほどいいゲームをしてきたのだろうなぁ。ぜひ紹介してほしいものだ。そもそも完全にオリジナルなものなどこの世に存在しない。
 正門でボスと会話したときにイコに分かる言葉で少女の名前が出ています。変ではありません。
 終盤のBGMはむしろ感動しました。
 エンドロール後のあれですが、そもそもあれを蛇足と考える人もいるので、あれより長くするのはダメでしょう。悲しい結末に耐えられない人のための救いのようなものですから、あれで充分です。

 最近のゲーマーは丁寧詳細なストーリー背景があって当然かのように考えがちですが、マージャンだって深い背景がついて無くても楽しめるでしょ?ゲームってそういうものだと思うのです。ストーリー読みたかったら小説読んでなさいって。


 さて、このゲームをプレイしてこの物語の背景となる出来事を私なりに想像してみました。同じ事を書いている人がきっとネットに存在すると思いますが、検索するほど暇も情熱も無いのでとにかく自分の考えをここに記しておきます。
 以下ネタバレ有りにつき注意!





























 以下の事実によって或る事が分かってくると思います。

  • 角の生えた子供は14歳で城につれてこられカプセルに入れられる
  • 墓所のカプセルは下段10個上段17個を左右合わせて54個
  • 石像の門は少女でしか開けない
  • 少女をカゲに奪われ闇の穴に連れて行かれると、そこを中心に闇が広がりイコは黒く固まる
  • 石像の門が開くとき少女を狙っていたカゲが石像からの稲妻で消し去られる
  • 場内の石像は中央22個、右側16個、左側14個を合わせて52個(正門の外の石橋入口を固める9体の石像は数に入れない)
  • 門の石像は角を持つデザインでありその懐には角を持つうずくまる少年の黒い像が収められている
  • 終盤で手に入る光の剣でも石造の門を開けられる
  • 終盤の墓所で現れる影はイコと同じ形の角を持ち体格も同じ
  • 終盤の墓所で現れる影はイコに触れるだけで攻撃しない
  • 終盤の墓所で現れる影は切られるとカプセルの中に吸い込まれる
  • 終戦で魔女の黒い波動をまともに受けるとイコは黒く固まってしまう
  • 光の剣で黒い魔女を倒せる。

以上から分かることはまず、

  • 門の石像に収められている黒い少年像はいままでイケニエにされた少年達に対応する

 ということです。少年像が少年達の体そのものを使っていることは、魔女の黒い波動を受けたイコが黒く固まってしまう事が暗示しています。そして何よりもカプセルの数と城内の石像の数が一致していることが証拠と言えるでしょう。正確には墓所のカプセル数54個からイコが抜け出した1つとそれとペアになるはずだったもうひとつを差し引いた52個が場内の石像の数と一致します。また、最終戦前の墓所で角の生えたカゲたちはイコを攻撃をしません。放っておいてもイコを触るだけです。まるで遊んでいるか、それとも実体を持つイコの体に憧れているのかも知れませんね。
 ここからいくつかの謎の答えが得られます。

(1)なぜ角の生えた子供が城につれてこられカプセルに入れられるのか?
 黒い魔女が角の一族を抹殺しようとしているという説は成り立ちません。生まれた端から殺していけば済むことだからです。ここからは私の想像ですが、

  • 恐らく角の一族の体は魔力を秘めているか、魔力の媒体として耐えられる強靭さを持っている

のではないでしょうか?それゆえ魔女は、角の一族が或る程度の年齢になるのを待って城につれてこさせているのでしょう。そしてカプセルで少年の魂を引き離し、体を加工して石像の動力源として活用しているのではないでしょうか?少年達の魂が魔女に支配されていないのは、イコを攻撃しないことや石造の門が開くとき周囲のカゲを稲妻で消し去ってしまうことからも分かります。また、黒い魔女が死んだ後、ヨルダを縛っていた呪縛は自動的に解けたわけではありません。カプセルから放たれた稲妻がヨルダを解き放ったのです。この意図ははっきりしませんが負傷し意識を失ったイコを助けるのに役立ったのは間違いありません。

 ところでイコとこの城の関係ですが、タイトル画面から始まるデモムービーで最初に示されるように、この城には角の生えた人物の石像があります。ただしスタート直後の渡り廊下の手すりの上に1つあるだけです。この城には他に像も絵画の類も全く無いので持ち主が何者なのか全く分かりませんが、恐らく

  • 角の一族の城だった

のではないでしょうか?もしこの像がガーゴイルの様に異教の神や被征服民を魔よけのために使っているのならもっとまがまがしい姿に作るでしょう。つまりこの像はこの城を作った民の一人を表わしているのだと思うのです。

 では、
(2)ヨルダとは何者なのでしょうか?
 ここで仮に黒い魔女を「闇」、角の一族を「光」として話を続けます。
 ヨルダは闇の側でしょうか?どうもそうとは言えないようです。ヨルダがカゲにさらわれ、闇の穴に引きずり込まれるとそこから闇の波動が広がりイコは黒く固まってしまいます。これは彼女が「光」の属性を持っていることの証ではないでしょうか?光の剣が石造の門を開く時の様子とヨルダが近寄った時に門が開く様子が酷似している事もその証拠のように思われます。
 しかしクリアされた方はご存知でしょうが、本来ヨルダは黒い魔女の娘であり、この城の中でしか生きられない定めを持った、闇の魔力そのものの結晶であると言えます。それは黒い魔女の死後、カゲと同様の闇の生命体として行動する姿や、オープニングでのイコの夢の中に出てきた闇だまりの中から生まれたヨルダの姿からも、彼女が本来は闇の属性を持つはずであると言えるのです。
 そこで私は次のように想像しました。

  • 黒い魔女は本来闇であるヨルダに自分を殺す力である光の属性をも与えることで、ヨルダの体を乗っ取った時により強力な力を得られると考えた

のではないでしょうか?そう考えるとわざわざヨルダを窓が四方にあって外の光が良く当たる高い塔のてっぺんに置いておく理由が分かってきます。(お姫様は高い塔のてっぺんに捕らえられているのが定番だから、という答えも正解だとは思うのですが・・・(笑))
 

(3)エンディングでなぜヨルダは城の外で生きていられたか?
 母親である黒い魔女が「たとえ私が死んでもヨルダは城の外では生きられない」と言っていた事から闇の力ではこの変化は説明できません。となると「光」つまり

  • イケニエにされた53人の角の生えた少年達の魂の力

ではないでしょうか?崩れ落ちる城の描写の中で門の石像が光を放ったのがその傍証ではないかと考えます。彼らがイコの”ヨルダを助けたい”という心に共感したのか、それともイコを助けてくれたお礼として外で生きていける体にしてくれたのかは分かりませんが。
 この解釈には無理があるのではないかという方もいるかもしれませんが、そもそも黒い魔女はヨルダの体を乗っ取るつもりでした。転生先の肉体を、わざわざ城でしか生きられない不自由な体にするのも変な話です。
 以下は完全に私の想像の範囲内での推論です。

  • もともとヨルダには外で生きることが出来る素養があり、しかし黒い魔女が何らかの儀式を行わない限りその能力は備わらない、ということだった

のではないでしょうか?万が一の少女の逃走を防ぐためにも儀式を行うのは魂の継承以後であることが望ましかったのでしょう。もしかしたらその儀式に使うために角の生えた少年達を集めたのかもしれません。イコは儀式に必要な最後の一人だった可能性も有ります。だからイケニエの少年達の魂がそれを望んだのであればヨルダが外の世界で生きられる体になることは可能だったのでしょう。(もちろんハッピーエンドじゃないと悲しくてやりきれないというゲーマーへの配慮である、という線も捨て切れませんが(笑))


 以上で私のICOへの分析を終わります。

結局検索しちゃったのでサイト二つばかりにリンク。
ICO非公式設定資料集
PS2のICOのページだYO!