ベルデセルバ戦記でブログ

プレイステーションソフト「ベルデセルバ戦記~翼の勲章~」 にこだわるブログです。(略称【ベル戦ブログ】)

振り子の等時性

 ガリレオはピサ大学の医学生だった。これは事実。しかし、

『学生時代のある日(17歳:1581)ガリレオはピサの大聖堂の天井からつるされているランプが揺れているのを見て、揺れ方の大小に関係なく、ランプの振動が一往復する時間が同じように見えたので、自分の脈拍で時間を計った。家に帰り、同じ長さの振り子を二つ作り、一方は大きく、一方は小さく振らせて両者が一緒に振動することを確かめた。』

 という有名な話はガリレオの弟子のヴィヴィアーニの「ガリレオ伝記」に基づいているが、本当ではないようだ。なぜなら、大聖堂にあるランプは、1587年にとりつけられたもので、しかも鉄の棒で支えてあり揺れはしないからだ。

 それはともかく、「振り子の等時性」をガリレオが発見したことは間違いない。

 この「等時性」はおもりの重さや振れ幅には関係なくひもの長さによってのみ変化する。つまりひもの長ささえ決めれば、地球上のどこででも正確に時を計ることができる事を示していた。(実際にはそうではないのだが、当時の時間を計る技術に比べれば問題にならないほどの誤差だったのでガリレオは気がつかなかった。この差については後で触れる。)

 当時の時計は巻いたバネが戻る力やおもりをつけたひもが落ちる力を回転力に変え、その回転速度を緩衝器で抑えることで長時間を計っていた。しかし、緩衝器の設定は勘に頼っていたので一日に一時間ずれるのは当たり前だった。それが振り子時計ならば一日数分のずれで済むのだ。時計の革命である。

 この「等時性」はそれまで誰も気がついていなかったので「ナゾであった」とは言えない。しかし、その後のガリレオの数々の発見の糸口といえる重要な発見といえる。そして、科学の方法の重要な出発点であることは言うまでもない。ガリレオは哲学的思考ではなく実験によって「等時性」を証明しているのだ。当時、学問といえば頭の中と紙の上だけが舞台であり、実際に物を手に取って確かめるという方法は一段低いもの、学問ではないと思われていたのだ。